2011年02月23日

「Win-Winの関係」

ビジネスシーンでよく使われる言葉に「Win-Winの関係」という言葉があります。契約などを結ぶ際にお互いにとって利益のある状態を指し、契約の相手はパートナーと捉えて相互に利益となる関係を目指しましょうという趣旨の言葉と認識しています。

とてもキャッチーな言葉で商談の相手に「Win-Winの関係でいきましょう」とか言われると、バリバリのビジネスマンに見えてしまうかもしれません。ビジネスに限らず基本的な人間関係にも当てはめることができ、良好な対人関係を築くための基本的なコンセプトだと思います。



しかしある一件以来この言葉に懐疑的…言葉自体を疑うというか、安易に使ってはならない言葉なのではないかと思うようになりました。


それは、退職の引止め(という名の説教)を上司から受けているときに

「今辞められると中期的(2〜3年単位)な計画に支障が出るから困る。Win-Winの関係になるように考えて欲しい。最低でもあと1年半待てないか。」

という趣旨の事を言われたことがキッカケです。


個人的には会社の予定に支障が出ない(会社側がLoseにならない)ように半年以上前に相談を持ちかけ、気を配ったつもりでした。しかし残念ながら、それは上司にとってはLoseとなってしまうようでした。
では上司の出した条件はどうかというと、この上司の仕事のやり方が合わず人間的に嫌いというレベルに達してしまっていた(とは本人には言いませんでしたが)自分にとっては苦痛でしかなく、その要求を呑むことは自分にとってはLoseでした。

という訳で、この例ではお互いが「Win-Winの関係」になるには両方、あるいはどちらかの価値観を変える必要があります。しかし当時の自分には上司を説得することはできませんでしたし、嫌な上司の下で嫌々働き続ける選択はできませんでした。



この時言われた「Win-Winの関係」という言葉(厳密には上司の用法)に違和感を感じ、しばらく「Win-Winの関係」って何だろうと考えにふけっていました。



この言葉は2者関係に着目した言葉だと思っています。

例えば石油がジャブジャブ出て余っているが経済的に困っているA国があり、もう一方には石油が足りないB国があるとします。この石油を相場より少し安い金額でA国がB国に売ることは、A国とB国にとって「Win-Winの関係」が成立していると思います。

A国:余剰の石油で経済的余裕ができる。
B国:相場より安い価格で石油を手に入れることができる。

しかし仮にA国は独裁国で、石油の掘削作業に危険が伴い国民が強制的に低賃金で行っているとしたら…A国、B国間の「Win-Winの関係」はA国国民の犠牲の上に成り立っていることになります。
さらに、A国の石油精錬施設が粗末なもので石油の品質が悪く有害な物質を基準より含んでいるとしたら…その石油を買って使っているB国国民も犠牲になっていると考えられます。

アフリカで問題になっているカカオ豆生産現場の問題や、コスト削減のために外国の外注を使うようになった現場の問題など、現実に起きている問題にも同じような構図を見ることができると思います。



単独の2者間で「Win-Winの関係」が成立しているとしても、その関係により不幸になっている関係者が存在する可能性がある。そう考えたときにこの言葉は懐疑的に見たほうが良いと感じ、この言葉を安易に発している人に対してうさん臭さを感じるようになりました。

2者間だけの「Win-Winの関係」は、うわべだけの「Win-Winの関係」。真の「Win-Winの関係」は、関係者みんなが幸せになれる「Win-Winの関係」ではないでしょうか。



真の「Win-Winの関係」って難しい…実はこの世に存在しないのではないかと思っていました。しかし今朝、家の前の幼稚園で行われていた避難訓練の様子を見ていて、これは皆が幸福な状態に近いのではないかと感じました。
消防署員が消防車と一緒に参加していて、非難訓練の後に園児が皆で消防車を引っ張るというイベントを行っていてみんな楽しそうにしているのが印象的でした。

園児:単純にイベントとして楽しんでいるように見えた。消防署員を身近に感じることで社会的経験になった。
幼稚園関係者:園児に有意義なイベントを提供することによる達成感。(準備などが過度の業務負担でなければ)
消防署関係者:地域社会への貢献、子供達への広報活動の良い機会。
消防署員:園児に有意義なイベントを提供することによる達成感。(準備、参加が過度の業務負担でなければ)

皆が幸福という「Win-Winの関係」に近づくためには、経済的な損得だけではなく、個人の成長や達成感や参加して楽しいなど内面の満足度をケアすることが重要だなぁと実感した出来事でした。



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posted by ひげしゅにん at 14:58| Comment(0) | エッセイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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